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前回は、生活習慣の大きな変化に伴いナウル島やピマインディアンの人々に糖尿病が急増した話をしました。同様のことが、生活習慣を大きく変化させつつある日本人にも起こるのでしょうか?
最初に、国内の日本人よりも早く生活習慣を変えざるを得なかった日本人移民について見てみましょう。日本から、ハワイ、シアトル(米国)、ブラジルに移民した日系人の糖尿病有病率や糖尿病発症率は、国内の日本人の2倍以上です。生活環境の西欧化、特に肉食を中心とした食生活の変化が大きく関与しているようです。
日本人の昔の食生活は、仏教の影響もあり肉食を殆ど摂らず、米飯と質素な副食が中心でした。そのような食生活では、インスリンの必要量が低いため、膵のインスリン分泌能力が低くても糖尿病になる可能性は低かったのです。一方、肉食や脂肪の多い西欧人の食生活では、糖尿病にならないためには膵の高いインスリン分泌能力が求められます。肉食の長い歴史を経てインスリン分泌能力の低い西欧人は淘汰されてきたのでしょうか?現在では西欧人の膵インスリン分泌能力は、日本人の2倍だと言われています。
米飯と質素な副食の日本食が、膵インスリン分泌能力の低い日本人を糖尿病から守ってきたのです。戦後急速に高蛋白高脂肪食に西欧化した現代日本の食生活は、日本人糖尿病患者急増の大きな要因です。食生活が日本人の体質に合わなくなっています。
では、肉食など西欧化した食事を止めれば、贅沢な日本食を食べても日本人は糖尿病にならないのでしょうか?その答えは、日本人認定糖尿病患者第一号の藤原道長の生活を見ればでてきます。藤原道長は、平安時代に栄華を極め、「この世をば わが世とぞ思う 望月の かけたることも 無しと思えば」と詠んだ貴族ですが、女官の日誌などに彼が糖尿病の典型的な経過をたどり合併症に冒されていく様が書き残されています。日本人は、たとえ日本食であっても贅沢な食事と運動不足を続ければ道長のように糖尿病になりやすいと言えます。
今、NHKドラマでは篤姫を放送していますが、和宮皇女が先月より登場しました。和宮皇女一行が中山道を下る行列の豪華な様は未だに語り継がれていますが、和宮が中津川宿で召し上がった御膳の文献が発見され、中津川市観光協会に予約すれば和宮姫御膳を楽しむことができます。インターネットで御膳の写真を見ることができますが、写真の下に更にもう一品付く旨が記されています。今の日本人は、和宮皇女の御膳だけでは満足できないようです。皆さんは、昔の王侯貴族よりも贅沢な生活をしているかもしれません。
米飯と質素な副食という昔からの日本食により糖尿病から守られてきた日本人は、贅沢な食事や西欧化された食事と運動不足により今や糖尿病急増の危機に直面しています。今一度、米飯食と質素な副食(小魚、大豆製品)と野菜、海草、茸の日本食を見直しましょう。ただ、昔の日本食は、野菜が不足しており塩分が多いのが欠点です。今は、たくさんの種類の野菜を楽しむことができます。ドレッシングやマヨネーズを使わない野菜料理を楽しみましょう。また、てんぷら、すき焼き、しゃぶしゃぶ、焼き肉、カレーライスは日本で作られた料理ですが、脂肪が多いので日本食と考えないでください。
私がいつも患者さんに言うことは、「ご飯(米飯)をしっかり、おかずは少しで、野菜・海草・茸をたっぷり」です。参考にしてください。
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