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日本人の糖尿病有病率は近年急激に増加しています。日本の糖尿病患者数は、ここ50年間で数十倍にも増加しましたし、さらに増加の一途をたどっています。日本人はその歴史上、ひとつの疾病の驚異的な増加に初めて遭遇しました。
日本人糖尿病患者の急激な増加の原因について語る前に、糖尿病患者が急増した歴史を持つ他民族について述べてみましょう。そこから学ぶことも多いと思います。
まず最初に、ミクロネシアのナウル島で起こったことを見てみましょう。
太平洋に浮かぶ珊瑚礁の美しい島々に、人々が海流に乗り、移り住んだのは大昔のことでしょう。珊瑚礁の島は農耕には適していません。島民はパンの木の実と魚介類に依存し、何千年も飢えと闘いながら生き延びてきました。
珊瑚礁の島々にも、西欧列強の植民地政策の波が押し寄せてきたのは19世紀後半です。ナウル島がドイツ領であった時にリン鉱石の鉱脈が発見され、1906年よりリン鉱石の輸出を開始しました。一時は世界産出量の半分を輸出し、莫大な富が島に転がり込んで来ました。
豊かになった島民は、世界中から食料や生活用品を輸入し、生活を急速に西欧化しました。リン鉱石の富は人々に幸せをもたらすはずだったのですが、急激な生活習慣の変化は、島民の健康に重大な問題をもたらしました。なんと、島民の60%以上が糖尿病かその予備軍になったのです。老人は合併症のため寿命を短くし、若者は合併症のため子孫を残す能力を低くしました。豊かさの中で、島民人口が減少したのです。
健康面の問題だけでなく、莫大な富を計画性のない放漫経営のために失った人々は、リン鉱石の枯渇と大規模採掘による環境破壊の問題にも直面しています。
次に、ピマインディアンについて見てみましょう。
ピマインディアンはアメリカ合衆国アリゾナ州に居住していて、かつては狩猟や農業を営んでいました。アメリカインディアンは全て裸馬に跨り、バッファローを追いかけて暮らしていて農業には従事しなかったと思っていましたが、彼等は狩猟のほかに農業も営んでいたようです。伝統的な生活は厳しいもので、彼等は痩せていて糖尿病患者は殆どいませんでした。
しかし、白人が西部に移住し、ピマインディアンが生活の基盤としていた河の水を自分達の農業用水として使うようになりました。そして、ピマインディアンは、伝統的生活を守れなくなり、米国政府の食料援助を受けながら生活することになりました。厳しい労働は減りましたが、食生活は伝統的な食事から援助食料を中心とした食事に変えざるを得ませんでした。彼等の労働や生活習慣は急変し、肥満と糖尿病に悩まされるようになりました。65%近い人々が、糖尿病かその予備軍になったのです。
長い年月守ってきた伝統的な生活習慣を急激に変化させたことにより糖尿病が急増した歴史を持つナウル島やピマインディアンの人々と同じように、戦後生活様式を大きく変えた日本人も同じ歴史を繰り返す可能性が高いのでしょうか?その疑問には、次回に答えたいと思います。
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